〓〓〓〓 きのこ狩り 〓〓〓〓

 

 

 

 

 

 

今日は、皆できのこ狩りに行ったでござる。
秋の山の紅葉はなかなかのもので、今度、弁当を持って出かけるのもいいかなと思った。


で、採ったきのこを家に持ち帰り、調理することにした。
拙者はエプロンをつけ、手を洗った。 その間に、バッファやアシュラ、ブロにアタル殿が, それぞれ採って来たきのこを台所に運んできた。

「だいぶあるな。」 バッファが呟いた。

「天ぷら希望。」 アタル殿が言った。

「解ったでござる。」 拙者は頷いた。

「じゃあ、さくさく調理始めるかぁ?」
バッファの言葉を合図に、ブロとアタル殿は台所から追い出され、
エプロンをつけた、バッファとアシュラと拙者で、 調理を始めることにした。

「俺も結構、きのこ採った方だと思っていたんだけど、 ブロとソルジャーには敵わないな。」
アシュラが、自分が採ってきた、 きのこの入った風呂敷を広げながら、言った。

「そうでござるな。」
拙者はブロとアタル殿の包みをちらりと見た。
アシュラの包みの、二、三倍はある。

ちなみに、拙者とバッファが同じ位 の包みの大きさだから、 これを基に比較してみると、 二人の包みの異様な大きさがよく解る。

「変なきのこも混じってたりしてな。」 バッファが豪快に笑った。

「しゃれにならんでござるよ〜。」 拙者も笑いながら、ブロの包みを開いた。

…。 中から転がり出してきた、大量 のきのこ。
それらはカラフルで、とてもきれいだった…。

「なぁ…。」 顔面を蒼白にしながら、バッファがカラフルなきのこを指差した。

「カ、カーカカカ!こ、こういうこともあるさ!!」
アシュラが六本の腕をフルに活用し、 ブロの包みから毒きのこを取り除いて、
後ろにある、 空のダンボール箱に正確なコントロールで放り込んでゆく。

「どんどん減っていくでござるな。」 ブロが採ってきたきのこの大半はダンボール箱に放り込まれた。

「…ソルジャーさんは、どんなきのこを採ってきたのかねぇ?」 バッファがアタル殿の包みに手をかけた。

…。 これまたブロに輪をかけてカラフルなきのこが溢れ出してきた。

「…。」

「…。」

「…。」

拙者たちは沈黙した。

 

「…なあ。」
最初に口を開いたのはアシュラだった。

「…紫のきのこってどうよ?」

「明らかに毒ってわかるよなぁ。」

「水玉模様のきのこもあるでござるよ。」
拙者はピンク色の水玉模様の毒々しい色のきのこを摘み上げた。

「はぁ…。」 アシュラがまたしても六本の腕をふる活用させた。

「なにをもったいないことをしている?」 アタル殿が台所を覗きこみ、尋ねた。

「…毒きのこが、混じっていたでござるよ。」 溜息混じりに拙者は答えた。

「そうか。」 アタル殿はなぜか楽しそうに頷いた。

「さて。」 毒きのこを全て取り除いた拙者たちは調理を開始した。

結局、食べられるきのこを採ってきたのは、 拙者たちと、ブロ(二、三本混じっていた。)だけだった。

「しかし…あんな毒々しいの、なんで採ろうと思ったのかねぇ?」
バッファがシメジをいためながら、首をかしげた。

拙者はアタル殿の希望通 り、きのこの天ぷらをあげながら、
「解らない。」 と言った。

「意外と、なにか考えがあったりしてなー。」

「やめてくれ。」
アシュラの言葉に拙者はうめいた。

毒きのこを採ってきたことに、考えなどあってはたまらない!

「うわー、うまそう!」 テーブルに並ぶ、きのこ料理のオンパレードに、ブロが感嘆の声をあげる。

「ブロ、食べる前には手を洗うでござるよ。」
つまみ食いしようと、皿に手を伸ばしかけていたブロに、拙者は言った。

ブロはしぶしぶと洗面 所に駆けていく。

 

「いただきます!」

全員そろっての夕食。 今夜のきのこは新鮮だから、いつものきのこ料理よりおいしいでござるv

「あれー?なんで俺が採ってきた赤いきのこ使ってないの?」 ブロがスープを口に運びながら、尋ねた。

「…毒きのこだったからだよ。」 バッファが溜息交じりに答えた。

「ふーん…きれいだったのに…。」

「きれいだからって、なんでもかんでも採るな!」 アシュラがつっこんだ。

「ブロ、心配するな。お前のきのこは有効活用させてもらうぞ。」 天ぷらを食べながら、アタル殿が言った。

その言葉に、拙者達は目を丸くした。

「…な、なにに使うんでござるか?」
恐る恐る、拙者が尋ねると、アタル殿は一言、

「秘密。」

と言った。

 

 

次の日、台所から毒きのこの入ったダンボール箱が消えていた。

そして、アタル殿の姿も朝から見当たらなかった。

夕方頃…。 拙者が夕食の支度をするために、エプロンを身につけ、手を洗っていたとき。

「ただいま。」 アタル殿が大きな鍋を担ぎ、両手に大きな風呂敷包みを持って、帰ってきた。

「おかえり。」 拙者はエプロンで手を拭きながら、アタル殿を出迎えた。

「どこへいっていたのでござるか?」 拙者が尋ねると、アタル殿は

「秘密。」

と言った。

それから、拙者に、 「今夜の夕食は俺が作る。」 とも言った。

拙者は、なぜかとても不安になった。

アタル殿は人参やら、玉 葱やら、肉やら…とにかくなんでもかんでも、 豪快に切り刻み、鍋に入れ、煮込んだ。

そしてアタル殿は鍋が煮え立ったころ、皆を呼び集め、席に着かせた。

「おー、今夜は鍋か。」 バッファが鍋を覗き込む。

「うまそうだな。」 ブロが言った。

「鍋のルールを知っているか?」 おもむろにアタル殿が言った。

「鍋奉行でござるな、アタル殿は。」 拙者は苦笑した。

「俺も鍋のルールは少しくらいなら、知っているぞ!」 アシュラが胸をドンと叩いた。

「電気を消して、暗い中で食べるんだろ?」

「それは…。」

「正解―。」

拙者がアシュラに『それは違う種類の鍋でござる』と教えようとしたとき、 アタル殿の声がそれを遮った。

「ルールは簡単。鍋から取り出したものは必ず食べろ。」 アタル殿はそう言うと、電気を消した。

カーテンはもともとアタル殿によって、閉じられていたため、 部屋の中は真っ暗になった。

まあ…闇鍋と言っても、あやしいものは入っていなかったし、 大丈夫でござろう。

拙者は箸を手に取った。

「ここで今夜の特別 ゲストが鍋に入りまーす。」
アタル殿はそう言うと、ぼちゃぼちゃぼちゃと、鍋の中に、 大量の何かを放り込んだ。

アタル殿が乱暴に鍋をかき混ぜる音が聞こえる。

「なあ…何入れたんだ?」 ブロが尋ねた。

「秘密。」

アタル殿が答えた。

「はい、いただきます。」

アタル殿の合図とともに、拙者達は、鍋の中のものを皿に移した。

「…人参か。」 バッファがつまらなさそうに言った。

「あー、肉だ。」 ブロが嬉しそうな声をあげる。

「餅でござる。」 拙者が取ったものは餅だった。

「ぎゃあああああああ!!!!!!」 …。 なぜかアシュラが悲鳴を上げた。

「おいおい、大げさだな。一体、何を食ったんだ?」 バッファが笑いながら尋ねる。

「ちなみに、解毒剤は茶の中に含まれてるからな。」 アタル殿の台詞で、部屋中がしーんと静まり返る。

アシュラがごくごくと茶を飲む音が、静寂を壊した。

「…っ…あ、あんた何入れたんだ!」 アシュラが怒鳴った。

「んー…特別 ゲスト。」

「特別ゲスト…って、…まさかとは思うが…きのこではあるまいな?」 拙者が尋ねると、アタル殿は爽やかに笑った。

「ははは。」

「はははじゃないでござる!!!何を入れたんでござるか!!!!!」

「ニンジャは我侭だなぁ。闇鍋の中身を公表したら、食べる気が無くなるだろ。」

「…食べる気のなくなるもの、入れたのかよ。」 バッファがうめいた。

「俺が食べたのは…きのこだった。」 アシュラが苦しそうにゼイゼイ言いながら、食べたものの正体を公表した。

拙者達は沈黙した。

「ばらすなよ。」 アタル殿が溜息をついた。

「安心しろ、さっきも言ったと思うが、解毒剤はお茶の中。 あ、やばいなーって思ったらすぐに茶を飲め。」
アタル殿はそう言うと、鍋からなにか取り出して、食べ始めた。

「ちなみに…十口以上食べなかった奴は…色々と覚悟しろよ? まあ、死ぬことは無いから安心しろ。」

 

かくして、拙者達の地獄の闇鍋大会が始まったのである。

 

 

 

おわり。

 

 

 

 

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 いるみなさんから頂きました!

 とても仲良さげで愉快な仲間達で楽しいです♪(笑顔)

 きのこ狩りしてる血盟ズが目に浮かびますvv(怪しい集団だ<笑)

  血盟「闇鍋の陣」ですね(笑)

 怪し気なきのこをわざわざ好んで採ってくる兄さん…
 (おいおいおい<ツッコミ)

 しかも活用してしまうとは怖っ☆

 兄さんの台詞「秘密」がなんだか店長お気に入りです☆

 いろいろと覚悟って………!!??(何!?)<ドキドキ

 第一の犠牲者はアシュ…次は誰だ!!??


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