「お前には死が色濃くまとわり憑いている。」
過去に、云われた事が有る。

 

 

「では、今、ここに居るお前は何だ?」
そんな話を、あの男は鼻で軽く笑った。

 

 

 

 

「何度死んでも、お前はいつも帰って来たよな」
昔馴染みの戦友が語る。

 

「ホントに『死んだ』と思ったんだけどな〜」
実対戦相手だからこそ、その言葉には冗談が窺えない。

 

「死神に見放されたんじゃないのか?」
昔、悪魔に血を捧げた奴にまで云われてしまった。

 

 

 

 

 

 

そうかもしれぬな

 

 

 

だから大丈夫、

 

拙者は死なないでゴザルよ。

 

 

 

 

この世は全てまやかしと
己自身をも蔑んでいた日々から
今、この両脚はしっかりと地に付いている。

 

 

 

 

 

だから心配しないでくれ。

 

 

 

 

 

「庇って死ぬ奴は 最低だ。」

 

 

 

誰が云った言葉であろうか

 

 

 

全くだ。
庇う方は自己満足だろうが
庇われた方はどうしろとゆうのだ。

 

 

 

だから 死なないでゴザル。

 

 

 

死ぬ時は
自分の為
自分の思うように
他人の為では無く。

 

 

「最低だ」

 

と笑われないように

 

 

 

 

 

死なない。

 

 

 

だから

だから

 

そんな顔をしないでくれ

 

 

 

 

 

目を閉じる寸前に

一瞬だけ 飛び込んで来た

あの表情

 

 

 


「大丈夫だから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

声にならなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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